2021 Favorites: Movies and TV Shows

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自分の生活を占める映画の割合がどんどん増えてきた。たくさんインプットするのも良いのだけど、作品数を重ねるうちにだんだんと細かい粗を探し出すようになってしまった気がする。そうやって楽しめない作品が増えていくのはなんだかもったいないので、一瞬でも良い瞬間がある映画をなるべく好きになっていきたいな、なんて考えている。リストに挙げた作品にも、全体としてはイマイチじゃない?なんてのもあるかもしれないけれど、それと同時に少なくともひとつは最高な瞬間も持ち合わせているのだ。

そんな感じで、国内で2021年に公開されたものについて、映画・ドラマなど分けずに20作品のリストを作った。

 

 

 

 

20. イアン・サミュエルズ「明日への地図を探して」(Movie, US)

Ian Samuels, 'The Map of Tiny Perfect Things'

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「ザ・スイッチ」でもいい演技をしていたキャスリン・ニュートンのいろんな服装を楽しめる映画。ありきたりなタイムループものかもしれないけど、日常のちょっとした素晴らしい出来事を見つけて明日へと手を伸ばすストーリーが好き。原題も邦題もどっちも素敵。

Link: Amazon

 

 

 

 

19. ケイト・ショートランド「ブラック・ウィドウ」(Movie, US)

Cate Shortland, 'Black Widow'

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MCUはかつて何作品か観たことがあったが、アイアンマンのキャラがなんか苦手だな…と思いずっと離れていた。劇場の予告編でシャン・チーやエターナルズなど気になる作品が多かったからフェーズ4から観てみることにした。
フローレンス・ピューがいきいきとしていてとにかく最高。楽しそうにミサイルをぶっ放すシーンがだいすき。ヒーロー映画もやっぱり楽しいね!という気持ちになれたので、2022年はMCUをちゃんと追い直してみようと思う。

Link: Amazon / Disney+

 

 

 

 

18. ローリー・ナン「セックス・エデュケーション シーズン3」(TV Show, US)

Laurie Nunn, 'Sex Education Season 3'

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シーズン3ももちろん最高。だけど、ちょっとイシューが詰め込まれ過ぎてるようにも感じて疲れた部分もある。愛おしいキャラクターたちが次々と傷ついていくのがつらい。でも、そうやって傷ついていくということが人生なのかな。ティーンがメインのドラマだけど、大人たちが抱えた傷についても同じように描くのがいいところ。

シーズン3はいわゆる"イケてる"グループに属してるルビーのネガティブな感情にもフォーカスを当てているストーリーがすごく好きだ。それに、メイヴとアダムが笑顔になれたのはめちゃくちゃ嬉しい。

Link: Netflix

 

 

 

 

17. エイミー・ポーラー「モキシー ~私たちのムーブメント~」(Movie, US)

Amy Poehler, 'Moxie'

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手を彩り、鏡の前にかざす主人公。人前ではその手を見えないように隠してしまう。つめを塗って外に出かけるようになった2021年のわたしと同じ姿がそこにはあった。隠したくなる手を褒めてくれる人に出会う瞬間の嬉しさを映すところでちょっと泣いちゃう。

アジアにルーツをもつ俳優が主人公の周囲にたくさんいて、みんなを魅力的に映しているのもよかった。

Link: Netflix

 

 

 

 

16. ジェラルド・ブッシュ/クリストファー・レンツ「アンテベラム」(Movie, US)

Gerard Bush / Christopher Renz, 'Antebellum'

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人種差別とはいつまでも消えない過去が現在に影響を及ぼし続けているものなのだ、と訴えかける。現在が過去になり、過去が未来になるストーリーテリングがとてもうまく、物語のトリックとしても驚きがあるし、苦しみ・悲しみ・怒りがより切実に描かれているように思えた。

 

 

 

 

15. ダリウス・マーダー「サウンド・オブ・メタル ~聞こえるということ~」(Movie, US)

Darius Marder, 'Sound Of Metal'

サウンド・オブ・メタル ~聞こえるということ~ 場面写真2

若さを取り戻そうとすることとそれを諦めたときに訪れる静寂について。難聴の物語だけれど、少しずつゆるやかに老い始めてきた自分の身体のことを重ね、若くいようともがくことの虚しさについて考えた。

Link: Amazon

 

 

 

 

14. リドリー・スコット「最後の決闘裁判」(Movie, US)

Ridley Scott, 'The Last Duel'

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命を懸けた男同士の決闘の凄みが増せば増すほど、主人公の命が軽んじられていくように感じて虚しさも強くなる。一番重要なことはもう誰も覚えていないし、真実には興味がない。論争の真ん中で忘れ去られたものに目を向けることについて。

Link: Amazon

 

 

 

 

13. 松本壮史 / 三浦直之「サマーフィルムにのって」(Movie, Japan)

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ブルーハワイのことが愛おしすぎてパンフ読み返すたびに涙出る。

 

 

 

 

12. 児山隆「猿楽町で会いましょう」(Movie, Japan)

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なんてことない恋愛映画かなー、と序盤で思ってしまったわたしは後半でホラー映画へと様変わりする物語の落差に見事にやられてしまった。次作でどんな映画を撮るのかが楽しみな監督。

Link: Amazon

 

 

 

 

11. ドゥニ・ヴィルヌーヴ「DUNE 砂の惑星」(Movie, US)

Denis Vileneuve, 'DUNE Part 1'

f:id:somehowsomewhere:20220108185921p:plainThis is only the beginning. やっぱりお金がかかった大作もわたしは大好きで、池袋のでかいIMAXスクリーンに映る贅沢な景色を半ば呆然としながら観た。2時間半の壮大な序章をこれだけ贅沢にできるということそのものに感動するし、最後のゼンデイヤ先輩の一言で最高!という気持ちになって映画館を出た。

Link:  Amazon

 

 

 

 

10. 首藤凛「ひらいて」(Movie, Japan)

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山田杏奈の演技を初めてみたけど、山田界のスーパースターだと思った。学年のカースト上位に属していることと生気を失い死んだ目をした演技を一つのキャラクターの中にうまく同居させていた。山田界の一員として今後も応援していきたい。

 

 

 

 

09. 見里朝希「PUI PUI モルカー」(TV Show, Japan)

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人間の愚かさと対比されて余計かわいく見えるモルカーたち。モルカーのようにやさしく生きていたい。男らしくなりたいことと、男らしくなくたって別に構わないことを描いた第10話は毎回泣いてしまう。

Link: Amazon

 

 

 

08. アジズ・アンサリ「マスター・オブ・ゼロ:愛のモーメント (S3)」(TV Show, US)

Aziz Ansari, 'Master Of None: Moments In Love '

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シーズン3と呼んでいいのか、スピンオフととらえればいいのかわからない独立したトーン&マナーで映し出される全5話。パートナーシップにおける軋轢と愛ある瞬間のそれぞれについて。もしくは歳をとっていくことの苦さと愛おしさのそれぞれについて。これまでだって人生の苦さと愛おしさについて描いていたけど、苦さの比率が着実に増えている。歳をとるということは苦いことなのかもしれない。でも、最後にふたりが辿り着く景色はとても素敵だった。

Link: Netflix

 

 

 

 

 

07. アダム・マッケイ「ドント・ルック・アップ」(Movie, US)

Adam McKay, 'Don't Look Up'

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権力の気持ち悪さとSNSで群がる大衆の気持ち悪さ。胸糞悪いことがしっかり胸糞悪く描かれていて、胸糞悪いのに笑えてくる。科学的確かさが政治や陰謀論に絡め取られて有耶無耶になるのは現実も同じ。そしてもしかしたら自分もそれに加担してしまっているかもしれないことを考えた。

Link: Netflix

 

 

 

 

06. エドガー・ライト「ラストナイト・イン・ソーホー」(Movie, UK)

Edgar Wright, 'Last Night In Soho'

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最近ホラーというジャンルをおもしろいと思えるようになってきた。過去の強烈な感情が現在によみがえって影響を及ぼすこと、その感情がなんだったのかを理解してあげること。忘れ去られたものを掬い上げて解放してあげることがホラーというジャンルなのかもしれない、なんて。

 

 

 

 

05. エメラルド・フェネル「プロミシング・ヤング・ウーマン」(Movie, US)

Emerald Fennell, 'Promising Young Woman'

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自分にとっては観ていてとてもつらくなる映画。主人公が男性に復讐を成し遂げていく、そんなストーリーのはずなのにどんどん首が絞められていく感覚を覚える。不条理に立ち向かうには今は自分の身を犠牲にする他ないのだ、という事実を突きつけられているかのようだった。

Link: Amazon

 

 

 

 

04. 横浜聡子「いとみち」(Movie, Japan)

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わたしが内側に持っているけど、普段どこに出すこともないことばが日本の色んなところで大きなスクリーンの中で発せられる。それを北国の内気な若者が自分を見出していくというストーリーでやられてしまったらわたしは涙する他ない。母と娘の映画であり、おばあちゃん映画でもある。

Link: Amazon

 

 

 

 

03. 今泉力哉「街の上で」(Movie, Japan)

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自分にもあんな夜があったからこそ今も生きていけてるよな、みたいな夜がある。誰にも見られていなくても、誰かがそこにいたことを知ってくれている。そんな日々の話。

Link: Netflix

 

 

 

 

02. ルカ・グァダニーノ「僕らのままで/WE ARE WHO WE ARE」(TV Show, US)

Luca Guadagnino, 'We Are Who We Are'

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男であることと女であること、子供であることと大人でいること、友達でいることと恋人でいること、すべてが曖昧で不安定でいる。その揺らぎの中に見出したきらめきをカメラはひたすら映しとっていく。この物語の中ではバリカンで頭を刈るシーンですら瑞々しく描かれる。この1年間で自分の中の揺らいでいる部分を見つめ直したわたしにはとても強く響いた。あまりに感動して「Cupid Deluxe」とサントラのLPを買いにレコード屋へ走ったのだった。

Link: Amazon (スターチャンネルEX)

 

 

 

 

01. 濱口竜介「ドライブ・マイ・カー」(Movie, Japan)

Ryusuke Hamaguchi, 'Drive My Car'

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濱口竜介の映画では、ふだん人間が内側に秘めているイビツさを人々が包み隠さず相手にさらけ出してしまう。こうだと思いこんでいた人間は内側にまったく予想だにしない感情を抱えていたことに気付く。それによって人間関係が変化し時には破壊されていくさまをじっくり描くのが好きなところだ。

だけれどこの作品はリレーションシップが喪失されてしまったところが出発点となる。主人公が内に抱える”イビツさ”は悲しみであり、それを吐露できる相手を見つけることで再生へと向かっていく。悲しみを”生きていくほかない”のだという現実を、「ワーニャ伯父さん」を介して、手話を通して、やさしさをもって伝える。傷ついていくことを描くのではなく、傷ついたところから少しでも前を向いていこうとするストーリーは意外ですらあった。でも、「親密さ」でもあった演劇を作り上げていく人々を映すことや、「寝ても覚めても」を想起するような北へと車を走らせる物語のピークに監督のこれまでを総括するような部分も感じて、結局は濱口監督の物語として心を奪われた。